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beloved 172

「あら、つくしちゃん起きていらしたんですか?」

「はな枝さん、すみません‥洗濯してくださったんですね?」

「ええ、コインランドリーって慣れないもので手間取ってしまって・・・。
あら、どなたかいらしたんですか?」
はな枝はケーキの箱を見てつくしに尋ねた。

「あゝ・・花沢の秘書の・・えっと‥野中さん?
類が買って来てくれる約束のケーキを持って来て下さって
今、はな枝さんと入れ替えにお帰りになったんです。
類は今日は遅くなるって・・・。」

つくしは、はな枝の電話を聞いてたので類が遅くなるのは
類の父親が入院したからだと分かっていたので
それ以上は何も言わなかった。

「まあ、そうですか?つくしちゃんケーキ食べますか?」

「そうですね‥折角だし・・はな枝さんも一緒に頂きましょうよ。」

「そうですか?ではご一緒に頂きましょう・・今タンポポ茶淹れましょうね?」

「私、あれ大好きです。」

ノンカフェインが母乳には良いと聞き、はな枝が用意してくれた
タンポポ茶を最近、つくしは気に入っている。
このお茶は母乳の出が良くなると人気もあるらしく
身体を温めてくれるお茶である。

ケーキの箱を覗いて、つくしは苺のショートケーキを
はな枝は抹茶のケーキを選んだ。

「わあっ、美味しそう。苺がこんなにおっきい・・。」

「まあ、本当にこの抹茶のケーキも美味しそうですわ。」

「そうですね・・ふふっ・・まだまだ入ってますよ?
2個目はどれにします?」

「あら・・迷いますね?ふふっ・・。」

「類は甘いの駄目だし、田村さんも苦手でしょう?
二人で食べちゃいましょうね?」

「でも宜しいのかしら?」

「いいんですよ・・類は夜遅くじゃないと戻りませんから・・。」

つくしにその訳を話した方がいいのだろうかと、はな枝は迷ったが
案外つくしが元気に話すので、やはり言えなかった。

*****************************

類はロイヤルホテルの会議室に向かっていた。
時間より早く着き、楓会長を待つ予定だったが
楓会長と同じ時間にどうやら着いたようだ。

「道明寺会長ご無沙汰しております。」

「あら、類さん御機嫌よう。花沢社長がインフルエンザですって?」

「はい、申し訳ございません・・きちんと体調管理には気をつけて居たらしいのですが・・。
ご迷惑お掛けします・・。」

「無理せずにキャンセルでも宜しかったのに、類さんはまだ会社の方には携わっていないと
聞いてましたけど・・今回の件大丈夫ですの?」

「いえ、そういう訳には参りません・・私が父の代行で今日は会議に
出席させて頂きますのでどうぞ宜しくお願い致します。」

「そう、大丈夫かしら?」

「・・・それは、会議で・・。」

「そう?」

楓会長が俺を見る目はこの若造がどこまでやれるのかと馬鹿にしている事が
直ぐに分かったが、ここで負ける訳には行かない。
同等の立場でこのプロジェクトを成功させなければ花沢の未来が無い。

二人で会議室に入り、類は大きく深呼吸してから
この鉄の女道明寺楓とたった一人で対峙した。

1時間後・・・。

「では、そういう事で宜しく。」

「はい、こちらこそ宜しくお願いします。」

「西田帰るわよ・・。」

「はい、会長。」

楓は花沢類が侮れない人物だと再確認した。今は自分の息子の司より
類の方がかなり上のスキルを身に着けていると思った。
類はそれ程完璧に、堂々と楓会長を相手に渡り歩いたのだ。

「西田、司をNYの大学に編入させます。・・うかうかしていられないわ。
このままだと・・数年内に花沢にこの道明寺が食われてしまうかも知れない・・・。
花沢類、音楽に現を抜かし花沢物産の経営には興味が全くないと
報告を受けていたけどとんでもない・・花沢物産侮れないわね・・・。」

「・・畏まりました,さっそく手配いたします。」






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beloved 171

つくしの病室に花沢物産の秘書室の秘書がお見舞いを頼まれたと
ケーキを持って現れた。


「私、花沢物産秘書室の野中と言います。
類様にこちらをお渡しするようにと頼まれて持って参りました。
それから、今日は遅くなるけど心配しないようにとお伝えするように言われました。」

秘書はこの病室が特別室だと言う事にも驚いたが
病室の中にベビーベッドや赤ちゃん用品が置いてあった。
この少女にしか見えない子が、赤ちゃんを抱いてあやしている。
赤ちゃんの顔は見えないが可愛らしいベビー服を着せられていた。
この少女は誰だろう?類様とはどういう関係でこの赤ちゃんの父親は誰なんだろう?
まさか・・まさか‥有り得ない・・そんな筈はない・・。

「あの・・ありがとうございます。お忙しいのにわざわざ、すみません。」

「ケーキ、冷蔵庫に入れておきましょうか?」

「あゝ大丈夫です。付き添いの人にお願いするので・・。」

「そうですか、ではお大事になさってください。私はこれで失礼します。」

「ありがとうございます。」

にっこり笑うつくしに、深々と頭を下げて病室を後にする秘書の野中。
類様とどういう関係か等聞いては居ないが、
可愛らしい笑顔が好感持てる女性だ。
可愛い子だったな・・でもあの子・・子供産んだって事だよな?
あんなに若いのに・・よく親に出産を反対されなかったよな?
ただ・・まだ未成年である事は察しはついたが
あの赤ちゃんは誰の子供なのだろう、考えながら歩いていた時に
擦違った女性に見覚えがあり振り返った。
きちんとした着物を着ている、年齢は50代だろうか?
洗濯ものをしたのか籠に入れて持っている、そしてその女性が入ったのは
今自分がお邪魔していた特別室である。

花沢のお邸の・・あゝ田村室長の奥様・・・。数度逢った事のある
はな枝の事を想い出した。
そして野中の妄想が始まったのだ。

未成年に子供を産ませたのは・・・田村室長?な訳は無い。
そんな訳アリの女性の処に奥様が来る筈がない。
あのご夫婦は仲がいい事で有名で奥様は
花沢の本宅の使用人頭として信用がある方だ。
じゃあ、あの人はお二人の娘さん?
でも、田村室長ご夫婦に子供がいるとは聞いた事が無い。
じゃあ、誰の子供?何故類様がお見舞いにケーキを?
まさか・・まさか・・類様のお相手?
あんな少女を?類様が?
類様と言えば・・花沢物産でも有名な超がつく美男子である。
そのお相手なら・・やはり美人な人ではないのか?
藤堂静ってモデルと噂になっていた・・・あゝあの人なら類様と釣り合う。

あの少女では無理がある・・・。
そう不釣り合いだ・・うんうん・・絶対に類様の相手である訳がない。

でも何故田村室長の奥様があそこに居たんだ?
やはり田村室長ご夫婦の娘さんで、それで類様がお見舞いにケーキを渡された・・。
別に相手は類様では無くて他の人なんだろう。
一番しっくりくる答えを導き出し野中は満足だった。

だが一つこの男は大事な事を忘れている、
類の伝言で「今日は遅くなるけど心配しないで」の一言だ。
普通関係ない無い人間が今日遅くなる等伝言する
必要は無いのだ・・・。


あゝ兎に角報告だけはしておこう。
野中は任務を終えた事を秘書室の課長に電話で伝えた。



beloved 170

何故あんな事を言ったんだろう。
・・こんな処で花沢物産の危機を救おうと俺が動くなんて
自分でも自分がわからない。
ただ・・ちいさくなった父さんの姿を見た時に
自分に出来る事なら力になりたいと思ったんだ。
道明寺財閥と同じ、うちの父さんはワンマン経営だと
前から聞いていた・・・俺には関係ないと気にもしなかった。
つくしに出逢う前までは・・・。
あゝ直ぐに帰ると言ったのに、つくしが心配しているかも知れない
でも目の前のこの難題を解決しないと俺は動けない・・・。

「田村、悪いけど誰かに美味しいケーキを買わせてつくしの病室に持って行って貰える?
苺のショートとそれからガトーショコラとか・・チーズケーキも入れて前種類違うのを
6個か8個か・・それくらいでいいと思う。」

「畏まりました直ぐに用意させます。」

「つくしには、遅くなるけど心配しないようにって伝えて貰ってくれる?」

「はい。」

田村は直ぐに何処かに電話を入れて、類の言った通りの指示を出した。

30分後、匠の病室の隣の部屋を借りて作戦を練る為に
類とプロジェクトに携わる人間達を呼び寄せ類は
匠のPCにアクセスを試みる。

最初は匠の名前や誕生日や亡くなった母親の名前や誕生日
それでもパスは開かない。
考えつく限りのパスワードを入力した。

「まさか・・これじゃないよな?・・・330RUI」

画面が開いた・・・。

「類様、入れたんですか?」

「あゝ・・どうにかね?」

素早いスピードで道明寺とのプロジェクトの極秘ファイルを開ける。
そしてその内容を類は物凄い速さで頭に叩き込む
数字は勿論、日付や、今までの会議の内容から
今日話すべき内容・・そして戦略・・・。

秘書もプロジェクトに携わる社員達も、類のスピードについていけない。

「・・内容は把握出来たから・・。田村、父さんの代わりに今日は俺が
楓会長に逢うから、そう伝えて・・・父さんはそうだなインフルエンザだと伝えて。」

「あの‥類様本当に内容をこの短時間に把握されたのでしょうか?
その内容はコピーしなくて宜しいのですか?」

「それは駄目だよ、これは父さんの頭の中だから・・
極秘・・・。誰も知られたくないと思う。」

「それは・・そうかも知れませんが・・。」

「楓会長と二人で逢う事になってるんだよね?」

「あゝはい左様でございます。食事をしながら二人だけでと伺ってます。」

「・・メイプルじゃないんだよね?」

「はい、今夜はロイヤルホテルです。」

「俺のスーツ用意してくれる?」

「類様もう用意しております。それから先程の指示通り
あちらにお見舞いのケーキを届けさせました。」

「流石、田村‥仕事が早いね?」

「恐れ入ります。」

田村が着替えを一式類に渡すと、類は着替えを始めた。
着替えが終わると数名の社員と田村を連れて
類は道明寺楓の待つロイヤルホテルへと向かった。




beloved 169

赤ちゃんのお世話もやっと一段落して、つくしはベッドでお昼寝を始めた。
その時、はな枝のスマホが鳴った。

つくしは、何故かその電話が気になったが、布団を被って聞いていない振りした。

つくしの様子を伺ってから、はな枝は電話に出た。

「はい‥あなたどうなさったの?類様もまだ戻られないからつくしちゃんが
心配を‥えっ?旦那様が倒れられたって・・それでご容態は?
旦那様もこの病院に入院されたのですか?・・ええ、つくしちゃんは今お昼寝されてますわ。
・・類様もご一緒なのですね?分かりました・・ええ・・詳しい事が分かりましたら教えてください。この事はつくしちゃんにはまだ言わない方が宜しいですね?
ええ、そうですね‥類様がお話になるでしょうから・・はい分かりました。」

スマホを切ったはな枝は、今のうちに洗濯物を済ませようと
洗濯室に洗い物を持って出て行った。

つくしは、どうしてもはな枝の電話が気になり話を聞いていた。

類のお父様がこの病院に入院?何処がお悪いんだろう?
だから、類も田村さんも戻って来れないんだ・・・。
類や田村さんがこの病室に戻って来ない理由は分かったが何故か不安になった。
類のお父様に何かあったら・・花沢物産はどうなるんだろう?
色々きっと大変な事になっているのかも知れない・・・。
つくしは不安な気持ちを抑えられないでいた。

何故か嫌な事が起きそうで・・・目を瞑っても寝る事が出来なかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「藤本君、社長のスケジュールはどうなっている?」

「午前中の予定は全てキャンセル致しましたが・・どうしても外せない
会議があります・・。」

「その内容は?」

「道明寺ホールディングとの共同プロジェクトです。
今日は楓会長との会議になります・・・。」

「楓会長か?」

「はい。」

「楓会長には、社長が倒れた事は内密に・・・。」

「しかし・・社長が行かなければ何があったと詮索されてしまいます。」

「困ったな、駒田専務は?」

「それが、・・今朝フランスに向かわれました。しかし、駒田専務が
詳しくご存知かどうかは分かりません。」

「この件で詳しく分かっているのは?」

「・・花沢社長だけです。」

「田村それどんな内容?父さんはそれを自分のPCに詳しく入れているんじゃないの?」

「類様・・社長がどういう戦略でお考えなのかは・・
社長にしか分かりません・・パスワードが分からなければ
内容を見る事も出来ませんから・・。」

「パスワード誰も知らないの?」

「はい。」

「父さんのノートパソコンを大至急で持って来て貰えるかな?俺が
父さんのパスワード解読してみる。時間ないから出来るだけ急いで。」

「藤本君君が取りに行ってくれ。」

「畏まりました。」

「それと資料を出来るだけ詳しい資料を持って来てくれ。」

「はい。」

beloved 168

「はな枝さん、類遅いですよね?‥お父様とのお話上手くいかなかったのかな?
あの‥はな枝さん‥類のお父様ってどんな人なのですか?」

「類様のお父様・・旦那様はそうですね‥一言で言えば厳格な方でしょうかねぇ。
小さな頃からとても真面目で、努力家だったと伺っています。
花沢物産の社長として旦那様で3代目になります。
何故か花沢家は直系の男性が一人しか生まれない御家でした。
ですから、旦那様も一人息子さんなのです。」

「兄弟が居ないって事ですか?」

「ええ、そういう事になりますね。」

「女の子も産まれた事がなかったんですね?」

「はい、まあ偶々そうであったのでしょう。」

「はな枝さん・・私の産んだ子は・・女の子だから・・類のお父さんは・・
花沢の子供だと認めてくれないかもしれませんよね?」

「そういう事はございませんよ?大丈夫でございますよ・・。」

「そうかな?・・やっぱり跡取りって大事でしょう?
・・・類はどう思うったのかな?」

「喜んでおいでだったじゃないですか?」

「でも・・女の子は花沢の跡取りにはなれないんでしょう?
でも、類は・・花沢物産って会社を継がなければいけないんですよね?
クルーズ家には跡取りのカイトがいるけど・・
花沢家には類しか居ないんですよね?類はどうするんでしょうか?
バイオリンを弾くお仕事は・・もしかして出来ないんでしょうか?」

「つくしちゃん・・その事は類様に考えて頂きましょう?今は・・
お生まれになった赤ちゃんのお世話を一生懸命やりましょう。ほら、もう
ミルクの時間ですよ?」

「・・・そうですね、私には分からない事だもの・・。待っててね今あげるからね?」

「ふぎゃあ、ふぎゃあ・・。」

「ふふっ、お腹が空いたって催促してますよ?」

「この子ったら本当に時間通りの食いしん坊さんだね?」

つくしが母乳を与える姿も様になって来た。朝晩2回お乳の出を良くするために
助産師さんが母乳マッサージをしてくれる。そのおかげで
つくしの小さな胸でも・・母乳がかなり出るようになった。
最初は母乳が足りてるかどうかなんてわからないから
最初に赤ちゃんのオムツを替えてから体重を計るらしい。
そして、飲ませた後にもう一度体重を計ればどれくらい飲んだか分かる。
粉ミルクなら量を計って飲ませるから簡単であるが
つくしの場合母乳で育てると決めたから粉ミルクにお世話になった事はまだ無いが
4時間おきの
授乳は兎に角体力勝負である。
沢山栄養も付けないと、母乳が出ないから実は病院に断って
病院食の他に母乳にいいと言う食事やおやつを
花沢から持ってくるように指示してある。

ノンカフェインのハーブティ、タンポポ茶などの飲み物も温かいものを
さつまいもやりんご等の身体を温めるデザート等。
根野菜のスープ等を薄味で用意してくれる。

つくしはそんな、はな枝の優しさに感謝していた。
つくしには母親が居ないから、はな枝は唯一育児を相談できる
頼れる母親代わりなのである。

母乳も済んでオムツを替えて沐浴も済ませたと言うのに
お昼を過ぎておやつの時間になっても類は戻って来ない
もう、あれから6時間・・類はどうしたんだろうか?
いくら話し合いだと言っても遅すぎないだろうか?

つくしは類に何かあったのでは無いかと心配になった。

もしかして類のお父様に私達の事を反対されているの?
田村さんも‥帰って来ないのはもしかして・・・
子供の事で何か言われているの?花沢の孫だと認めないとか?
・・どうしよう・・認めて貰えなかったら・・許して貰えなかったら・・
名前もまだ付けていない。この子はどうなるの?

類・・何だか嫌な予感がする・・。




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