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ビスクドール30

花沢邸  類の部屋

はな枝は納戸からアンティークのキャビネットを
2人のメイドに運ばせた。
綺麗に埃を払い、綺麗に磨きを掛けて類の部屋の中に運んだ。
それをじっと見ているのは・・。

「牧野様如何されました?」

「類の部屋で何をしてるんです?それどうするんですか?」

「あゝこれでございますか?類様がお部屋にビスクドールを飾るとおっしゃるので
アンティークのキャビネットを納戸から出して来たのですよ?
このお人形を飾るのに丁度良い大きさでございましょう?
綺麗にしたので、今から類様のお部屋へ飾る所です。」

「そのビスクドールを?」

「ええ、類様がなんだか気入られて様で・・。
わざわざ自分からお部屋に飾るとおっしゃったんですよ。」



何故・・私ではなく彼女を選ぶの?
彼女は今はビスクドールじゃない!
長い間、あなたは私を忘れて私の事を探してもくれなかった。
ルイ、ルイ・・。
それは、ただのビスクドールなのよ?
あなたは、私ではなく彼女をそれでも選ぶというの?

「本当に可愛らしいお人形ですよね?
偽物だなんてね?可哀想ですけど、類様がこうして
お部屋で愛でてくださるなら・・本当に良かったわ。
奥様は納戸に仕舞う様におっしゃったのですけどね?
類様がビスクドールに興味を持たれるなんて不思議ですけど。」

「そうかしら?所詮人形は人形でしかないわ。」

「牧野様?」

私だって昔は沢山の人々に可愛がられたわ。
皆の見える場所でいつだって笑って居られた。
あの日、箱に仕舞われて暗い場所に閉じ込められるまでは・・。
皆の声が聞こえなくて、暗くて寂しくて・・。
長い間辛い時間を過ごしたわ。

人間になりたかった、人間になりたかった・・。
やっと私に、自由が持てたというのに・・。
それなのに・・何故なの?



「牧野様?どうかされましたか?」

「いいえ、私もお手伝いします。」

「まあそんなこと宜しいのですよ、これは私達の仕事ですから。
それに、手は十分足りております。
牧野様は類様とお茶でもお飲みになられてください。
類様はテラスで本をお読みになられてますよ。」

「・・・。」

「牧野様を類様のいらっしゃる場所に案内して差し上げてください。」

はな枝は若いメイドに指示を出す。

「はい。牧野様、類様はこちらでございます。」

「そう、ありがとう。」


納戸に仕舞ってしまえばいいのに。
私を見捨てた時の様に・・そして何年もこのまま忘れたらいいのに。
私の時と同じようにすればいいのに。
何故ルイはそうしなかったの?


はな枝の言った通り類はテラスの椅子で本を読んでいる。

「牧野様あちらでございます、類様にお声をお掛けしましょうか?」

「後はいいわ。」

若いメイドは頭を下げて下がって行った。

「ルイ、何故ビスクドールを納戸に仕舞わなかったの?」

「牧野?」

「ルイのお母様は納戸に仕舞う様におっしゃったんでしょう?」

「牧野はなんで、あの人形の事をそんなに気にするの?」

「・・・それは・・。」

「前も言ったけど、牧野には関係ないんじゃない?」

「それはそうだけど。」

「そんな事より、そろそろ一度家に帰った方が良くない?
もう、司の事吹っ切れたならさ。あんたバイト休んでばかり居られないでしょう?」

「えっ・・バイト?」

「あんたバイト休んでるんでしょう?あまり休んでると生活できないよ?」

「生活・・。」

「しばらく休んでる内にボケちゃった?
親から生活費貰ってないんだから、あんたにはバイトは必須でしょう?
アパート代とか光熱費とか・・大丈夫なの?」

「・・・・・。」

雑草って貧乏なの?親って親と一緒に暮らしてないの?
まだ大人でも無いのに・・親に見捨てられたの?
そんなに、彼女は不幸なの?

「牧野?」


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